アカデミア・企業向けサービス

Microbiome DNA Analysis Service

細菌叢解析サービス

信頼度の高い細菌叢解析を実現します

サービス概要

本受託解析サービスでは、以下の3つのタイプの項目を受託します。

 ・16S_1: 試料(糞便、唾液、皮膚など)のDNA抽出⇒抽出したDNAの16Sライブラリ作製⇒NGS(イルミナ社MiSeq)による16S配列(V1-V2)データの生産⇒QIIME2を用いた情報解析(菌種帰属、α多様性、菌種組成)
 ・16S_2: 試料(糞便、唾液、皮膚など)のDNA抽出⇒抽出したDNAの16Sライブラリ作製⇒NGS(イルミナ社MiSeq)による16S配列(V1-V2)データの生産
 ・DNA抽出: 試料(糞便、唾液、皮膚など)のDNA抽出

本サービスでは、実際の菌種組成に極めて類似したデータを与えるDNA抽出法(LA法)を用いています。

細菌叢DNA解析技術について

細菌叢解析の第一ステップは試料(糞便や唾液、皮膚など)からの細菌叢DNAの抽出です(図1)。細菌の溶菌メカニズムの違いから、DNA抽出法は「化学法」、「酵素法」、「ビーズ(機械的溶菌)法」の3つに大別でき、今日では様々なDNA抽出法が開発され、一部はキット化され市販されています。

図1.細菌叢解析の基本プロセス
図1.細菌叢解析の基本プロセス

近年、用いたDNA抽出法の違いで細菌叢の解析結果が大きく異なることを示した論文が増えてきました。例えば、21種類のヒト糞便DNA抽出法を比較した国際共同研究では、細菌叢解析の様々なプロセスの中で(図1)、DNA抽出法の違いが解析データ(菌種組成やα多様性など)に大きな差異を与える最大要因となることが明らかとなり、そして、実際(真実)の腸内細菌叢に最も類似した解析データを与えるプロトコールQ(ビーズ法)が推奨されました(文献1, 2017) 。このDNA抽出法間の違いは、個々の菌種に対する溶菌効率(=DNA変換効率)が各DNA抽出法で異なる(偏る)ことが主因にあります。

最近では、日本の2グループから、プロトコールQを含めた様々なビーズ法を比較した論文と、当社の酵素法であるLA法(文献2, 2013)を含む様々なDNA抽出法を比較した論文が発表されました(文献3, 2021; 文献4, 2023)。
この2論文では、人工細菌叢(モック・コミュニティ;予め菌種組成がわかった培養菌の混合物)が用いられました。この2論文のデータから、当社は各DNA抽出法のモック・コミュニティの菌種組成(正解)への類似度ランキングを行いました(図2)。

図2.様々な細菌叢DNA抽出法の比較
図2.様々な細菌叢DNA抽出法の比較


Bray-Curtis距離は、2つの菌種組成間の非類似度を数値化したもので、0に近いほど菌種組成の類似度が高くなる。同じサンプルの同じ手法で得られた2つの菌種組成のBray-Curtis距離は約0.1となる。つまり、この値は避けることができない技術誤差となる。

図2の結果は、調べたDNA抽出法の中でプロトコールLA、Q、N、Pが正解の菌種組成にもっとも近い菌種組成を与えることを示しています。プロトコールNとPは文献3で新たに開発されてDNA抽出法(ビーズ法)です。
ついで、当社ではこの4つの方法の比較を実際のヒト糞便を用いて行いました(図3A)。この研究では10名の被験者の糞便(40mg wet重量)を用いて4つの方法で得られた菌種組成をBray-Curtis距離で評価しました。その結果、LA、N、P法は互換性の高いDNA抽出法であることがわかりました(3方法間のBray-Curtis距離と技術誤差/DuplicateのBray-Curtis距離が約0.1)。一方、Q法は、今回の解析では、同じビーズ法のN法とP法、ならびにLA法との間で有意に低い類似度を示しました(Bray-Curtis距離が約0.3)。くわえて、LA、N、P法がQ法よりも有意に高いDNA収量をもつことも判明しました(図3B)
これらのヒト糞便を用いた解析結果で、注目すべきは、LA法(酵素的溶菌法)とN及びP法(いずれも機械的溶菌法)という、溶菌メカニズムが異なる抽出法が有意に高い類似性を示した点です。このことは、3つの方法で得られた菌種組成が真実の菌種組成に極めて近いことを意味します。

図3A.4つの細菌叢DNA抽出法(LA, N, P, Q)から得た菌種組成間の類似度比較
図3A.4つの細菌叢DNA抽出法(LA, N, P, Q)から得た菌種組成間の類似度比較
図3B.4つの細菌叢DNA抽出法(LA, N, P, Q)からのDNA収量比較
図3B.4つの細菌叢DNA抽出法(LA, N, P, Q)からのDNA収量比較

さらに近年では、解析結果が用いたDNA抽出法によって大きく左右されることを指摘した論文が増えています。例えば、米国・国立標準技術研究所(NIST)は、複数の消費者向け腸内細菌叢検査サービスからの結果が異なる最大要因としてDNA抽出法の違いを指摘し(文献5)[MOユ3.1]、いくつかの細菌叢データ大規模解析ではDNA抽出法が大きな交絡因子になることが報告されています(文献6〜8[MOユ4.1])。 以上のように、世界的にも細菌叢DNA抽出法がマイクロバイオーム研究の結果やその解釈を大きく左右する[MOユ5.1]要因であることが認識されて来ました。当社はいち早く最適化されたDNA抽出法の探索を進め、現時点において、LA、N、P法が実際の菌種組成にもっとも類似した細菌組成を与えるベストな[MOユ6.1]DNA抽出法であることを突き止めました。
なお、本研究の内容は論文化ならびに国内外の学会での発表を予定しています。

LA法をベースとした当社の細菌叢DNA抽出プロトコールの特徴

  • 細菌種への偏りが小さい溶菌特性と高範囲な溶菌スペクトル
  • 高いDNA収量(数十mgの糞便、0.1mlの唾液からのNGS対応DNAの抽出)
  • 高分子量DNA(10kb以上の平均リード長)
  • 高品質DNA(NGSシークエンシングや定量PCRでの高い成功率)
  • 相対菌数の定量(DNA収量/糞便重量=相対菌数*)

採用事例

  • 日本初のNGSを用いた腸内細菌叢メタゲノム解析(DNA Res, 2016)
  • 日本最大規模の4,198名の腸内細菌叢を解析(Gastroenterology. 2022)
  • ロングリードメタゲノム解析(Microbiome, 2019)
  • 唾液細菌叢(Nature Commun, 2021)
  • 皮膚細菌叢 (Sci Rep, 2023) など

サービス内容

1. 受入試料の種類:
ヒト・動物の糞便、唾液、皮膚など(土壌、植物等の環境試料は原則受注不可)
2. 受入試料の形態:
凍結またはRNA later懸濁液(4℃〜室温)
当社では試料採取キット(RNA later 入りチューブ)も販売しています(下記3と6参照)。
3. 解析の種類・価格
解析種類 品名 受入形態 DNA抽出 データ生産 データ解析 単価・税抜(円)*
16S解析 16S_1 試料 20,000
16S解析 16S_2 試料 18,000
DNA調製 DNA抽出 試料 10,000
試料採取・保存 試料採取キット(RNA later) 1,000

*16S_1とDNA抽出は30サンプル以上の発注は定価の5%引き。

4. データの種類と納品物
品名 データ・データ量 納品物
16S_1* MiSeqによる16S配列(V1-V2)データ(>5,000リード/検体)の生産 ・全16S配列データ
・ASV解析/QIIME2による菌種帰属、α多様性、菌種組成データ
16S_2* MiSeqによる16S配列(V1-V2)データ(>5,000リード/検体)の生産 ・全16S配列データ
DNA抽出 DNA(Q&A参照) ・調製DNA/TE溶液(QubitによるDNA濃度)

*抽出DNA(TE溶液)のご返却をご希望の方は前もってお申し出ください(返却は着払い)

5. 納期
品名 納期
16S_1 1〜3ヶ月
16S_2 1〜3ヶ月
DNA抽出 〜1ヶ月

検体採取・保管・発送・輸送方法

ヒトの糞便採取

採便キット内容

  • ①採便シート(楽流カップ)、②採便容器、③説明書、④ジップ付きビニール袋
便採取一覧
便採取一覧

便採取の概要

  1. 当社作成の取扱説明書にしたがって糞便の採取をお願いいたします。

  2. 洋式便器に取り付けた採便シート(楽流カップ)の上に排便をします。

  3. 採取容器(保存液入り)を用意し、便を採取容器の蓋に付いたスプーンで0.1~0.5g(小指の先程度)採取します。

  4. 採便したスプーンを、保存液が含まれる容器に戻し、そのまま蓋を閉めます。

  5. 保存液と便が混ざるように懸濁(軽く複数振ってください)します。

  6. 検体発送まで冷蔵〜室温で立てた状態で保管します。採便から36時間以内に冷蔵便での発送をお願いいたします。

便採取方法手順

便採取方法手順
便採取方法手順

詳細は送付の取扱説明書に準じます。

唾液採取

唾液採取キット内容

  • ①唾液回収容器、②説明書、③ジップ付きビニール袋
唾液採取一覧
唾液採取一覧

唾液採取の概要

  1. 当社作成の取扱説明書にしたがって唾液の採取をお願いいたします。

  2. 漏斗(ろうと)をチューブ(保存液入り)にのせて、漏斗上に自然の唾液(0.5~1ml)をだします(15分ほどかけて何回も少しずつ出しても構いません。
    また、1mlを少し超えても構いません)。

  3. 唾液がチューブに入ったことを確認し、内容物がこぼれないように蓋をしっかり閉めてください。

  4. 容器を回すように数回振って、保存液と唾液を混ぜてください。

  5. 検体発送まで冷蔵〜室温で容器を立てたまま保管します。採取から36時間以内に冷蔵便での発送をお願いいたします。

唾液採取方法手順

唾液採取方法手順
唾液採取方法手順

詳細は送付の取扱説明書に準じます。

保管・発送・輸送方法

当社が採用している 保存液入り検体採取容器は、便や唾液を回収後、1ヶ月は室温で保たれるように設計されています。しかしながら、データの信頼性や再現性を向上する為、冷蔵での保管を推奨します。
また、採取後36時間以内に当社へ冷蔵発送をお願いいたします。

検体保管や輸送の詳細に関しましては、別途ご案内いたします。

指定の保管・発送・輸送方法以外で発生しました検体棄損に関しましては一切の責任が持てませんのでご了承ください。

検体に関する注意事項

検体の採取、保管、送付方法

検体の採取、保管、送付については当社の採取法の取扱説明書を送付いたします。

検体性状、必要量および保管・送付条件

検体性状、必要量および保管・送付条件
検体性状、必要量および保管・送付条件
  • ※ 他の動物検体に関してはお問い合わせフォームからお問い合わせください。土壌、植物等の環境検体は受託しておりません。
  • ※ 当社採取キットに付属しています。
  • ※ 当社は保存溶液としてRNAlaterを使用しています。

検体受け入れ条件

本受託事業では感染症が明らかなあるいは疑いのある検体の受託は一切行っていません。当社の検体受け入れはBSL(バイオセーフティー・レベル)1[ヒトまたは動物に重篤な疾患を起こす可能性がないもの]とさせていただいています。
万が一、測定中に危険な感染性検体であることが判明した場合、感染防御感染拡大抑制の為に検体の希少性等如何に問わず滅菌処分等の対応をさせていただくことがありますので、予めご了承ください。

測定後の検体の取り扱い

残存検体(糞便や唾液)は原則返却しません。当社で適切に廃棄させて頂きます。

Q. 納期はどのぐらいですか?

A. 依頼サンプル数及び、受注混雑状況により変わりますが、サンプル受理後2週間~3ヶ月以内を目安としています。

Q. 依頼できるサンプルの形態は何になりますか?

A. 凍結サンプルあるいはRNAlater保存の試料になります。その他の保存液や方法で保存した試料、あるいは何らかの前処理をした試料につきましては事前にご相談願います。

Q. 抽出DNA量は?

A. ヒト糞便サンプルの場合は、届いたサンプル量にもよりますが、1μg以上のRNA-free DNAを納品します。
ヒト唾液・皮膚サンプルの場合は、抽出DNAにヒトDNAが多く含まれるため、正確な細菌叢DNA量を測定できず、トータルのDNA量をご提示します。
また、マウス糞便はヒト糞便よりも相対菌数が少ないため、1μg以上のRNA-free DNAの納品ができない場合があります。

Q. 抽出DNAの品質は?

A. 当社のDNA抽出プロトコールは酵素的溶菌法をベースにしていますので、高分子量で高品質のRNA-free DNAを提供いたします。
よって、イルミナNGSを用いた16Sアンプリコンやメタゲノムシークエンシングなどの通常の細菌叢解析やPacBioやナノポアなどのロングリードNGS(平均10kb以上のリード長をもつ配列データの生産)での高い成功率をもつDNAを提供いたします。
なお、DNA収量はQubit蛍光定量システムを用いて測定しています。

Q. 抽出DNAに付随する情報は何になりますか?

A. DNA収量とDNA濃度を記録したエクセルファイルとなります。

見積もり依頼 / お問い合わせ

  • 注)本サービスは、アカデミア・企業向けのサービスです。一般の方・個人を対象としたサービスではありません。
  • 注)1回に30検体以上のご発注(16S_1とDNA抽出)には5%の割引をいたします。
  • 注)年間に200検体以上のご発注には割引をいたします(別途のご相談)。

細菌叢DNA抽出サービス 見積もり・お問い合わせフォーム

見積もり依頼・お問い合わせは、下記の Google フォームよりお送りください。ご不明点は analysis@smart-gut.com までお問い合わせください。

お問い合わせ

細菌叢DNA抽出サービス・解析に関するご相談はこちら